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時計界の主役を張るロレックス デイトナのオーナー視点のレビューをお届けしよう.
時計界の主役を張るロレックス デイトナのオーナー視点のレビューをお届けしよう.

こういうのが欲しかったんでしょう? できましたよ(編注:70年代の米国トヨタ カローラのCMより)。ロレックス デイトナ “ル・マン” Ref.126529LNについて、オーナーである私からお届けしよう。この記事を執筆しながら、本メディアで私が実際に所有している時計を個人的にレビューしたのはいつ以来か思い出せないでいる。久しぶりなだけに、ちょっぴり楽しんでいる。そして、もしかしたら本記事がきっかけで“A Week On (An Owner's) Wrist(オーナーの手首で1週間)”にシリーズ名が変わるかもしれない。それはとにかく、さっそく本題に入ろう。

最近の記憶では、オーデマ ピゲスーパーコピーN級 代引きのRef.15202 BC、パテック フィリップのRef.5270P、A.ランゲ&ゾーネの1815ラトラパンテ、カルティエのノルマルだろうか。それぞれ審美面、系譜、技術面など、あらゆる面で私に語りかけてくる、まさにキラーウォッチの数々だ。

しかし、最近の歴史のなかで、私に邪悪な考えを抱かせた2本の時計がある。私のような時計沼にハマった人なら、どんなタイプかご存じだろう。“この時計のためなら何でもする。何でもだ”と言わしめるような時計だ。そのうちのひとつは、こんな感じの小さな貴金属製の時刻表示のみの時計だ。もうひとつは? ロレックス デイトナ ル・マン Ref.126529LNである。

ロレックス デイトナ ル・マン Ref.126529LNとは何か?
世の中で起こった重要な出来事は、忘れ得ぬ爪痕を残すという。この時計のニュースが流れた瞬間、私はどこにいたかをよく覚えている。美しい初夏の土曜日、私はここで友人たちとクレー射撃をしていた。

「これがロレックスの新しいクロノグラフだ。その名も "ル・マン"」 1963年頃、そして2023年。

そして、これがこの時計の本質、世界でもっとも重要な耐久レースであるル・マンの1世紀にわたる軌跡を表している。そして、実はちょっとした数字遊びが隠されている。昨年の2023年は100周年にあたり、上の画像のRef.6239が発表された1963年は40周年だった。そのためか、ロレックスは現在我々がデイトナとして認識している時計を当初ル・マンと名付けていた(上の私の蔵書内の元の広告を参照してほしい)。しかし、見方によってはル・マンはレースとしてより歴史が長いといえ、ロレックスは何世代にもわたってその一翼を担ってきた。だから、実はデイトナでありながらル・マンでもあるこのクロノグラフが、100回目のレースにあたりお披露目されるのは理にかなっているのだ。

 では、この時計はいったい何なのだろうか? 基本的には最新世代のデイトナ(Watches&Wonders 2023で初公開されたメタリックな質感のベゼルリングで簡単に識別できる)だが、ある人は“エキゾチック”ダイヤルと呼ぶ、平たく言えば“ポール・ニューマン”ダイヤルを備えているモデルということだ。さらに、2023年新作のプラチナモデルと同じオープンケースバック仕様、そして最も重要なのは、12時間積算計の代わりに24時間積算計を備えたクロノグラフという、まったく異なるムーブメント(Cal.4132)を搭載していることだろう。シンプルだが、重要な意味を持つ仕様変更であり、ロレックスが決してその地位に安住することはないことの証明でもある。

ル・マンに対する唯一の批判は、入手不可能であること以上に、ダイヤルのみならずベゼルの100のマーカにまでレッドの差し色が使われていることだ。何ヵ月も着用していると、そのことはすっかり忘れてしまう。

 この時計について語りたいことは山ほどある。だからこそ20分延々と続く動画が出来上がったわけだ。しかし、いくつかの重要なポイントを簡単に説明しよう。まずオープンケースバックは、私が持つほかのデイトナより少し厚く感じる。しかし、私が“感じる”と書いたのは、実際に時計の厚さを測ってみると、それほど厚くなかったからだ。つまり“サファイアバック=厚みが嵩む”というのは少し的外れであり、私の感覚はあくまで感覚であって、事実ではない。

Rolex Caliber 4132
Cal.4132は、“オートオルロジュリー(超高級時計)”と呼ぶような水準ではないが、実に素晴らしく見える!

 ケースバックとゴールド製ローターについて特筆すべきは、このムーブメントが実に素敵に見えるということだ。パテックやランゲの手巻きクロノグラフムーブメントと仕上げの点で比肩するだろうか? 確かに及ばないが、それが目的ではないし、価格帯も異なる。ロレックスのムーブメントが工業品のように見えるのは、実際そのように製造されているからだという思い込みがあろう。しかし10年近く前にロレックスの社内に潜入したときに紹介したように、これらのムーブメントがどれだけ手作業の工程が多いか知るとショックを受けるだろう。そしてCal.4132は、ここでご覧いただけるように、実に見栄えがする。地板には深いジュネーブストライプが施され、イエローゴールド製ローターも精巧に仕上げられている。

 ムーブメントについて触れておくと、4132は新しいキャリバー番号で、ほかのデイトナに搭載されているCal.4131とは異なり、12時間ではなく24時間積算機能を持つ。ロレックスによると、これを実現するために7つの部品を追加する必要があったという。つまり、それほど多くはないのだが、いくつかの理由からこの逸脱は大きい。ロレックスのムーブメントが刷新されることは滅多にあることではないし、必要に駆られたものでもなかった。確かに、積算計を12時間から24時間に増量させるのに、たった7つの部品しか使わなかったが、それは称賛されるべきことである。ロレックスは効率性を追求する社風があり、丸1日分の経過時間をカウントする唯一の機械式クロノグラフではないにしても(ただし、この事実については、どなたかに検証いただきたい)、そのひとつを作り上げることができるのは、ロレックスのムーブメントの高い品質と創意工夫があってこそ、なのだ。

 24時間積算計なんてたいしたものではないと思われるかもしれないし、12時間積算計と人間の頭脳を組み合わせればちゃんとした24時間積算計になるから誰も作ったことがないと主張する人も多いだろう。しかし煎じ詰めれば、高級時計製造のほとんどすべてに同じことが言えてしまう。そしてロレックスは、ル・マン24時間耐久レースとの本格的な連携という真の目的を持って、それを成し遂げたのである。また、24時間積算計を時計製造への些細な貢献と見なすのは簡単だが、クロノグラフを作るのがいかに難しいかを考えると、少し考えが変わるかもしれない。例えば、パテック フィリップのカタログを見るといい。アワーレジスター(時積算計)を備えたクロノグラフは見当たらない。Ref.5172/5270は、間違いなく世界で最も優れたクロノグラフのひとつだが、計測できるのは30分までである。パテックのより実用的なキャリバーであるRef.5905でも60分積算計を搭載するのみである。ダトグラフは? 同じく30分だ。これでお分かりいただけたのではないだろうか?

 また、私はバーゼルワールド2018で、多くの人がレインボーベゼルは時計製造における宝石セッティングへの些細な貢献だと言っていたことを思い出している(カーラは違った、彼女は逆の評価を下していた)、そして今の世界を見て欲しい。私の言葉を覚えておいて欲しい。我々は今後数年のうちに、さらにいくつかの24時間積算クロノグラフを目にすることになるだろう。しかし、ほかのレインボー同様、このデイトナのオリジナル性に匹敵するものはないだろう。


24時間積算計の12のすぐ下を見ると、ダイヤルがレンダリング画像で見るようなピュアでリッチなブラックではないメタリックグレーであることがわかる。

 もうひとつ注目すべきは、このダイヤルがステンレススティール製デイトナに見られるようなリッチで艶感のあるブラックではなく、メタリックグレーに近いという点だ。まったく予想していなかった光沢感がある。よし悪しではなく、手首につけたときにしか見られないディテールであり、ウェブ上の画像ではあまりわからない。また、ダイヤルについては、ポール・ニューマンスタイルが採用されており、各積算計のハッシュマークの端の小さな四角いマーカーの意匠は、誰も予想していなかったのではないだろうか。

Reference Points: ロレックス ポール・ニューマン デイトナの全て

オリジナルの "ポール・ニューマン デイトナ "について知りたい? 2014年にさかのぼるこのReference Pointsの動画をご覧いただきたい。

 さて、“ポール・ニューマン”スタイルのダイヤルのロレックスコレクターの伝説における立ち位置を知ることは重要だ。まず、誰もが言うように、これらの特別なダイヤルは曲者が多いのだが、紛れもなくクールな要素が潜んでいる。時計収集が主流になってから何年も経った今日でさえ、非エキゾチックダイヤルの通常のデイトナよりもかなりのプレミアムがつくほどだ。特に理解し難いことは、どの時計がどのダイヤルと組み合わされて製造されたかを知る術がないことだ。しかしロレックスの世界では、価値の多くはダイヤルに左右され、出自はほとんど問題にされない。世界で最も高価なデイトナは、ほぼ間違いなくこのスタイルのダイヤルを持つものであり、あの1800万ドルのポール・ニューマン デイトナに限った話ではないのだ。だからロレックスがついにこのスタイルのダイヤルを備えた現代版のコスモグラフを発表したとき、世界が特に注目するのは当然といえよう。もちろん、この時計はSS製ではなく18Kホワイトゴールド製だ。これは、(ロレックスの時計が依然として享受している著しい需要に対して)すでに困難に陥っている供給問題を悪化させないように、おそらく価格帯を入手可能な範囲から大幅に引き上げることを期待してのことだろう。

デイトナ ル・マンはデイトナ愛好家のコレクションのどこに位置するのか?

ここでの違いは微妙だが、重要である。

私がデイトナを愛していることは隠すつもりのない、公然の事実だ。先代のSS製(Ref.116500LN)のホワイト/ブラックダイヤルの両方と、オイスターフレックスのWG仕様を含め、何本か所有している。ブラックダイヤルのSS仕様は現在、ニューヨーク州ロチェスターに住む母のもとで過ごしている(彼女の手首からこの時計を買い取ろうとした地元のスーパーマーケットの変人たちに拍手を!)。しかし、この時計は長いあいだ、私のコレクションの定番だった…ル・マンがそれを変えてしまうのだろうか? もちろん、そんなことはない。しかし、そもそも現代のデイトナの何がそんなに素晴らしいのかを再考するきっかけとなった。私にとっては、伝統、デザイン、機能性、そして率直に言って、2016年に初めて新型デイトナを手にしたとき、あるいはその何年も前に初めてヴィンテージデイトナを手にしたときに感じた特別な感覚を保ちながら、デイトナをつけてやっていけないことはないという事実だ。先代までのデイトナに取って代わるものでないし、率直に言って、ロレックスの販売店では、この時計が誰かの最初のデイトナになる確率はゼロに等しい。

Rolex Daytona Le Mans
これは? これはいい時計だ。

 ル・マンは誰かが唯一持つモダンなデイトナになる可能性はあるだろうか? もちろん、その重量と、WGはロレックス独自のSSよりも傷がつきやすいという事実に慣れることができれば、そうなる可能性はある。ここに見られるポリッシュ仕上げのセンターリンクや、現行デイトナすべてに見られるポリッシュ仕上げのミドルケースは、深刻な形で傷が付きやすい。しかし、それはロレックスにとって目新しいことではないし、もしそれが本当に問題であれば、ロレックスはそれについて何かしら対処するはずだ。そうしないということは、ロレックスはこの時計が本来の性能を発揮していると感じているのだろう。それだけで私にとって十分だ。


他のデイトナ同様、オイスターブレスレットにはポリッシュ仕上げのセンターリンクが施されている。


ミドルケースもまた、プッシャーのキャップとともに美しくポリッシュされている。

ル・マンの競合モデルはあるのだろうか? あるとは思えないが、強いて挙げるならば…

2本の3レジスター、オープンケースバック、WG製の時計が、クロノグラフの2大ファミリーを代表する。

 ル・マンとの競合モデルを考慮せずして、“A Week On The Wrist”を語ることはできないだろう。この時計に匹敵するようなものは、入手が不可能なだけに、なかなかないのだ。WGのロイヤル オーク クロノグラフ? だが、それはちょっとしっくりこない。私が思いつく最高のものは(市場で手に入れることがいかに難しいかという話ではないとして)カノープスゴールド™のオメガ スピードマスター プロフェッショナルだ。この2本の時計は、一方が自動巻き、もう一方が手巻きだが、それ以外はほとんど同じであり、時計製造の歴史において最も重要な2本のクロノグラフシリーズを代表するものだ。また、どちらも現実ではめったにお目にかかれない点も共通している。

 さて、ここで興味深いのは、カノープス™仕様のスピードマスターのほうがル・マンよりも小売価格が高く(カノープス™は純粋なWGではなく、プラチナ、ロジウム、パラジウムを含む合金であるため、強烈な白色を持つ)、さらにほかの要素があるため、腕につけたときの重量がさらに重くなるということである。正直なところ、カノープス™仕様の3861はとんでもなく重いのだが、しばらくつけていると、その重さを愛おしく感じないわけにはいかなくなる。どちらのムーブメントの仕上げが優れているか? もちろん一方にはローターがあって、もう一方にはないものの、同等レベルだ。

2025/08/30(土)


メンバーが親友の結婚式につけたい腕時計(そしてその理由)を紹介しよう。
アンオーダイン(AnOrdain) モデル3/トニー・トレイナ
 もしロレックスや結婚式のギフトリストに必ず載っているあの悩ましいキッチンエイドより高価なものを私が友人の結婚式に私が身につけていたら、Netflixでトム・ブレイディ(Tom Brady)がボロクソに言われているようにからかわれるだろう。しかし柔術のインストラクター(トム・ブレイディの元妻、ジゼル・ブンチェンのインストラクターのことだろう)に何を言われようと、私は結婚式に腕時計をつけていくつもりだ。

 私にとって、この最も神聖な日の腕時計選びで最善のシナリオは誰にも気づかれないことである。誰にもどこの時計か聞かれないことだ。この日は私や私の腕時計のための日ではなく、幸せなカップルのための日なのだから。しかし“時計好き”として、もちろん誰かにいつかは聞かれるだろう。たとえ、それが新婚カップルにちなんで名付けられた特製カクテルを何杯か飲んだ後のことだとしても。


スーパーコピー時計 代引きそのときが来てしまったら、“ロレックス”や”カルティエ”などおどおどしながらに答えるだけではなく、もう少しおもしろい話をしたいと思っている。時計と人々についての簡単な物語を語り、なぜそれを仕事にしているのかを伝える。それはもしかしたら、誰かにとって腕時計がただの派手で高価な手首飾り以上のものであるということを伝えるきっかけになるかもしれない。

 このような目的に合ったマイクロブランドがいくつか頭に浮かぶが、アンオーダインはその筆頭だ。スコットランドのこのメーカーは過去10年間にわたって職人技と職人を支え、特にエナメル加工に重点を置いてゆっくりと時間をかけて成長してきた。「エナメル加工に限らず、私たちがほかのブランドとは違い特別である理由はクラフトやウォッチメイキングへのアプローチにもあります」と、最近ヒース(Heath)氏は私に語った。これはアンオーダインの最新作、モデル3におけるメソッド・スタジオ(Method Studio)とのコラボレーションによって示されている。

 メソッド・スタジオはスコットランドの真ん中にある古い森林委員会の木材置き場に位置し、昔ながらの方法で木箱を製造している。アンオーダインはこれらの箱をインスピレーション源に、美しい波模様を持つエナメルダイヤルを作り上げた。これはなかなかどうしてからかいにくい話じゃないか。

オーク&オスカー(Oak & Oscar) オルムステッド 38/リッチ・フォードン
 時計業界で働いていると、結婚式に出席した際に必ずといっていいほどどんな時計をつけているのかと興味を持たれる。私もこの状況に何度も直面し、あることに気づいた。時計に興味がない人々はニッチなヴィンテージロレックス(たとえばRef.1016のギルトダイヤル)や、あまりにも“ラグジュアリー”なものについての話を聞きたがらないということだ。個人的にパテックのRef.5004Pを結婚式につけたいとは思うが、その選択をほかの人々が喜んでくれるとは限らない。「腕に何をつけているの?」という質問に対する答えが、A)比較的手に取りやすく、B)多くの“普通”の人たちが聞いたことのないブランドのものであるときに、最も興味深い会話が生まれる。親友の結婚式、つまりこのような会話が多く生まれるであろうイベントに最適な時計はオーク&オスカーのオルムステッドだ。


 オーク&オスカーのデザイン言語はややツールウォッチやフィールドウォッチ寄りだが、私はシンプルな選択肢ならスーツにも十分対応できると常々感じている。たとえば親友が夏に結婚することを想像してみよう。屋外での結婚式なら、オルムステッドは十分に適している。

 オルムステッドの物語は非常に魅力的だ。ヴィンテージロレックスのダイヤルについて2年間しか生産されなかったと長々と話す代わりに、シカゴ(私の故郷)を拠点とし、友人(創業者のチェイス・ファンチャー)が運営しているブランドを紹介することができる。オーク&オスカーのブランドストーリーは普段あまり会わない相手とでも共有したい話であり、今日でも5年後でも、いい時計を探しているならおすすめしたい製品である。

カルティエ(Cartier) タンク ルイ カルティエ(グリーン)/ヴィック・オットマネリ
 私の親友と私はしばしば自分たちを好きな色、赤と緑で表現することがある。まるで任天堂の象徴的な兄弟、マリオとルイージのように、私たちは家族そのものだと思っている。私たちはお互いに最も困難なときは支え合い、そして最も幸せなときはともに祝うのだ。


 彼女の人生でとびきり幸せな瞬間のひとつになることを願い、私はゴールドケースにグリーンのストラップを持つ、グリーンダイヤルのタンク ルイ カルティエをつけて行くつもりだ。お祝いの場で、彼女がこの時計の赤いモデルをつけてくれることを期待している。そうすれば私たちはおそろいになる。いつかこの時計をふたりで購入し、私たちの友情を記念するのが私の夢だ。それを身につけるのに、これ以上の機会は思いつかない。

グランドセイコー(Grand Seiko) ヘリテージ コレクション 44GS SBGW297(手巻き式)/ジェームズ・ステイシー
 結婚式にふさわしい腕時計(たとえ自分が結婚するわけでなくても)を考えるのは、楽しい思考実験だ。その時計は現代の結婚式で必要とされるさまざまなドレスコードに対応できるほどの汎用性を持ちながら、特別な場面を祝うにふさわしいものでなければならない(ただし、あまりにも特別すぎて主役である親友よりも目立ちすぎないように)。これらの観点から、私の頭にはすぐにグランドセイコーが浮かんだ。このブランドは“控えめで特別、そして派手すぎない”時計をつくるのが非常に上手いからだ。

grand seiko
 堂々としていて、着実に成長を続けているグランドセイコーのコレクションから僕が選ぶのはヘリテージ コレクションの44GS SBGW297だ。2023年に発表されたモデルだが、最近ようやくニューヨークのマディソン・アベニューにあるグランドセイコーの新しいブティックで、この質感ある白文字盤モデルを直接見る機会を得た。36.5mmの直径と11.6mmの厚さでSBGW297はドレスウォッチとしてのプロポーションを持ち(44GSモデルのなかで径は最小)、SS製である。そのシャープなホワイトダイヤルには本当に美しい放射状のパターンが施されており、インデックスと針がその舞台上に配置されている。僕はそのダイヤルから目を離すことができなかった。

 何か特別な要素をお求めなら、この44GSモデルは小さくて非常に美しいだけでなく手巻きのGSキャリバー9S64を搭載している。これにより-3〜+5秒/日の精度、2万8800振動/時の振動数、そして72時間のパワーリザーブが実現されている。より特別でドレッシーな選択肢がお望みならば、手巻きのムーブメントはより伝統的でロマンチックな体験を提供するだろう。僕はおそらくレザーストラップを選ぶだろうが、このグランドセイコーには得てしてとらえどころのない“家宝のような魅力”があり、結婚式シーズンにはぴったりだ。

チューダー(Tudor) ブラックベイ 58/マーク・カウズラリッチ
 以前にも友人の結婚式につけたい腕時計について考えたことがある……、ああいや、それは別のEditor's Picksだったかもしれない。


 結婚式につける時計を選ぶ際には、その場の雰囲気や場所、ドレスコードを考慮するべきだと思う。しかし私には億万長者の友人(もしくは億万長者向けの結婚式にふさわしい時計)がいないので、たとえばパテック フィリップ Ref.1518のように過度にラグジュアリーな時計は除外していいだろう。実際、私は信頼がおけるブラックベイ 58を手に取るつもりだ。これは私が初めて“真剣”に購入した時計であり、緊張で胃をキリキリさせながらも長く愛用できるという確信のもとに決断したのだ。私はまだ結婚していないが、結婚式当日もきっとそんな気持ちなのだろうと想像している。

 ドレスコードがどうであれ、この時計はどんなスタイルにも合う。スポーツウォッチをブラックタイでつけるなんて、という人もいるだろうが、私は「もう21世紀なんだから、そんなことは気にするな」と言ってやりたい。ボンドがタキシードにサブマリーナーを合わせ、ポロシャツにも同じ時計をつけているように、私は親友の結婚式でもこのチューダーを自信を持ってつけて行くつもりだ。もちろん、ほかの場所でも同様に。

ジャガー・ルクルト(Jaeger-LeCoultre) 101 レーヌ/マライカ・クロフォード
 これは親友の結婚式なのだから、彼女を差し置いて目立つようなことは一切しないように気をつけなければならない。彼女がその特別な日にどんな時計をつけるのかは知らないが、親友として背景に徹する役割を考えると、私がダブルラップのYG製セルペンティを選ぶのはあり得ない。


 この特別な場では、ジュエリーに近いものに留めるつもりだ。何と言われようとも私はフォーマルな場面では伝統主義者であり、スポーツウォッチは絶対に許されない。そしてこれは仮想の結婚式なので、私はゴールドとダイヤモンドのものを選ぶことにした。ジャガー・ルクルトの101 レーヌはまるでテニスブレスレットのように見える時計だ。全体にジェムセットされているが、それでも控えめな印象を保っている。少しゆるめにつけることで、あえてちょっと無頓着な感じを演出することも可能である。もし誰かがこの小さな文字盤に気づいたなら、話のきっかけにもなるだろう。そのうえ101はエリザベス女王が1953年の戴冠式でつけていたものであり、結婚式の見知らぬゲストとのあいだで英国に関する話題を(私の非常に英国的なアクセントとともに)さらに膨らませることができる。

 小さめの時計ブームには敏感な私だが、自分の手首に小型で繊細な時計を選ぶことはあまりない。しかし101レーヌは時計としては控えめだ。豪華でありながら洗練されており、仮想の人生の一部において採用してもいいと思うようなスタイルである。親友が私に気を遣って、豪華で洗練されたブライズメイド(花嫁のサポート役。式に立ち会うだけでなく、準備段階から花嫁を助ける)ドレスを着させてくれることを願うばかりだ。

パテック フィリップ(Patek Philippe) ゴールデン・エリプス Ref.5738/1R/ジョナサン・マクウォーター
 親友の想像上の結婚式にも、その場にふさわしい時計が必要だ。この仮のシナリオでは、私の親友はおそらく次のふたつのうちどちらかのことをするだろう。秘密の式を挙げて駆け落ちするか(正直、私はこれに賭けている)、もしくはすべてのディテールが完璧に計算された華やかで大規模なパーティを盛大に開催するかだ。その中間はない。したがってこのシナリオを成立させるためには、私は結婚式のゲストとしての空想を後者のストーリーにもとづいて展開する必要がある。


 この仮想世界では本当に全力を尽くしているので、時計も最高のものを手にしなければならない。選ぶべきはほかならぬパテック フィリップ、特にゴールデン・エリプス Ref.5738/1Rだ。もっとも、もしどんな時計でも自由に選べるとしたらケースの寸法がもう少し小さければとは思うが……。それはさておきブラックダイヤルとRGのブレスレットは、間違いなくドレスコードであるタキシードを完璧に引き立ててくれるだろう。パテック フィリップのドレスウォッチは必要なポイントを正確に押さえていて、余計な説明は必要なく、多くを語る必要はない。控えめで洗練されておりエレガントだ。加えてこのRef.5738に特徴的な手仕事によるブレスレットは、確かな存在感を示すための少しの追加要素となっている。

 何年にもわたってエリプスのドレスウォッチに憧れを抱いてきたが、この最新モデルはパテック フィリップのエレガンスの頂点にあり、アーカイブをほうふつとさせるチェーンリンクのブレスレットがこの時計を見たときの感動を最大限に引き上げてくれる。それはまさに結婚式にふさわしく、シックでありながらその場にふさわしい華やかさも演出してくれる。

2025/08/25(月)


バゲットセット仕様のものは、ジェムセットした時計の頂点に君臨する。
ミッドセンチュリーのドレスウォッチに散りばめられたバゲットインデックスには、紛れもなく洗練された雰囲気が漂う。バゲットダイヤモンドは細長く高価であり、ダイヤモンドカットにおけるイングリッド・バーグマン(Ingrid Bergman)のようでもある。全面にバゲットセットを施したスポーツウォッチもあり、こちらもジェムセットの派手さにおいてマグニチュード10相当の破壊力がありそうだ。大胆で隙がなく、やや刺々しさを感じさせる。そう、メイ・ウエスト(Mae West)氏がLAにある中華料理の名店“Mr.Chow”に現れたとき、自然とスタンディングオベーションが起こったような感じだ。

Rexhep Rexhepi
バゲットインデックスを備えたレジェップ・レジェピ クロノメーター コンテンポラン II ディアマン。

 現代的なバゲットカットの手法は1912年にカルティエによって編み出された。その後数十年間、アール・デコ期のジュエリーデザイナーたちはクリーンな直線と幾何学的なフォルムを強調するために、このタイプのストーンカットを採用した。バゲットは1930年代のレディースウォッチの装飾にも見られ、ウブロ スーパーコピー男性用の懐中時計および腕時計のダイヤルのインデックス/アワーマーカーにも使用されていた。

Cartier Art Deco timepieces
今日の高級時計製造において、バゲットカットは最も好まれるプレシャスストーンのスタイルとなっている。パテックやロレックスのようなスイスの老舗メーカーからジェイコブやMB&Fのような独立系時計メーカーまで、バゲットシェイプの宝石は注目の的だ。スポーツウォッチに最も多く見られるバゲットセット仕様の時計の人気は、(富裕層に限るが)時計収集界隈の上層部において特に顕著だ。宝飾品とは異なり、バゲットをあしらった時計は広大な時計の世界でもほんの一角に過ぎない。希少性や経済的な側面はさておき、バゲットカットの美しさは見る者を驚嘆させる。だから、この記事に掲載されている宝石をあしらった時計の画像をじっくりと眺め、目を眩ませることが心の逃避行となれば幸いである。

バゲットカットの技法を知る
 では、なぜバゲットカットがスイスの由緒ある時計ブランドに選ばれるようになったのだろうか。ラウンドストーンと比較するとバゲットは表面積が大きいので、それゆえに好まれるようになったという話もある。「表面積が大きいほど石の視認性と色の輝きが増し、石がより格調高く見えます」。こう解説するのは石のカットとセッティングを専門とし、ジュネーブに本社を置くピエール・サラニトロ(Pierre Salanitro)社である。

Patek
パテック フィリップ  アクアノート・ルーチェ Ref.5260/1455R

 サラニトロ社はオーデマ ピゲやパテック フィリップを含む高級時計メーカーからジェムセッティングの依頼を受けることが多い。2022年、パテックは同社の株式40%を取得したことを発表。パテックは昨年、ダイヤル、ベゼル、ケースサイド、ブレスレットに130個のバゲットカットのダイヤモンド(8.66ct)と779個のマルチカラーのバゲットカットサファイア(45.05ct)を“インビジブルセッティング”なる技法で取り入れたアクアノート・ルーチェ 《レインボー》ミニットリピーター Ref.5260/1455Rを発表した。なぜって? その答えはパテックのみならず、同業他社にとっても超複雑機構やクラフツマンシップ、そして単に“我々はこれを作ることができる”ということを誇示するのと同列なのかもしれない。

Patek 5719 watch
パテック フィリップ ノーチラス Ref.5719/10G。

 ジェムセッティングした時計の消費主義的な側面を非難する前に、宝石のセッティングは尊敬に値する技術であることを理解することは重要だ。「バゲットストーンのセッティングは複雑で、ラウンドストーンのセッティングとは大きく異なります」とサラニトロ社は解説する。「とりわけインビジブルセッティングの技法は石を下から固定し、上から金属素材が見えないようにするため難しいのです」

 それを踏まえると高級メーカーがこの技術に傾倒するのは当然だ。アフターマーケットのジェムセッティング業者には完全コピーできないクラフツマンシップを宿す時計……、たとえばロレックスのレインボーデイトナ、パテックのノーチラス Ref. 5719/10Gのようなモデルのリリースはスイスのブランドがアフターマーケットとの差別化を図るための手法のひとつなのだろうか?

Drake wearing a diamond set Nautilus
パテック フィリップのノーチラスRef.5719/10Gを着用するドレイク(Drake)氏。Photo: Getty Images

 しかし本当の理由は基本的な経済原理に基づくものなのかもしれない。「スイスにはこの技術を取り扱えるセッター(技師)が非常に少なく、その数は増大し続ける需要を満たすには不十分なのです」とサラニトロ社は説明する。バゲットのセッターにとって課題となるのは、その工程が非常に手間のかかるものであること、そして多くのブランドは単にそのような専門家を揃えるだけの経営資源を持っていないということだ。供給を制限するもうひとつの要因は(これも経済原理だが)、必要な品質の宝石を調達するのが難しいという絶対量の不足の常態化だ。バゲットはほかのカット技法よりもファセットが少ないため、不純物が目立ちやすい。これを避けるにはより質のいい原石が必要だ。つまるところジェムセッティングは、ある匿名の業界関係者が言うところの“職人の飲み比べ合戦”のひとつに過ぎない。これも正統なマーケティング用語のリストに加えようか?

 バゲットをアフターマーケットでセッティングすることは可能だが、通常の製造工程で行う技法とは異なる。「セッティングは、たとえばパヴェ(pavé)のようなものではありません。まったく別ものです」。時計ディーラーでありGIA認定宝石鑑定士、4代目宝石商のロイ・ダビドフ(Roy Davidoff)氏は言う。「バゲットをケースにセットするためには時計の構造全体を変える必要があります」。宝石のセッティングを前提としたデザインでない限り、シンメトリー(左右対称性)を実現するのはほとんど不可能に近いのだ。

Gem-set Royal Oak
10本限定のレインボー・ロイヤル オーク Ref.15514BC。ジェムセッティングはサラニトロ社によるもの。バゲットカットのエメラルド861個(〜32ct)がセッティングされた、41mm径で自動巻きの18KWG製ロイヤル オーク。


41mm径、自動巻きのWG製ロイヤル オーク、バゲットカットのオレンジスペサルタイトガーネット861個(〜47.3ct)。


バゲットカットのピンクトルマリン861個(〜35.8カラット)がセッティングされた41mm径の自動巻きロイヤル オーク。

 おそらくアフターマーケットでの改造が原因で、宝石がセッティングされた時計は純粋主義者を自認するコレクターや愛好家のあいだで時計学的な逸脱のシンボルとなっている。ジェムセット仕様の時計は往々にして、その美的センスと莫大な値札だけでなく、アイスド・アウト(ド派手な装飾)が施されたアフターマーケットのパヴェケースやプリンセスカットのダイヤモンドがセットされたベゼルを連想させる。時計学の専門家たちによれば、製造時のものから逸脱することはその時計の格を下げる結果にしかならないという。これらは私が支持する考え方ではないが、2024年現在において広く受け入れられている教義なのである。

 ハイジュエリーに精通した人々にとってバゲットカットの石は定番であり、これからもそうあり続けるだろう。「私たちが長いバゲットを愛するのは、カットの難しさを知っているからです。ことわざにもあるように“オムレツを作るにはたくさんの卵を割らなければならないし、本当に長いバゲットを作るにはたくさんのダイヤモンドを割らなければならない”のです」。 サザビーズのジュエリー部門、北米担当のフランク・エヴェレット(Frank Everett)副会長はそう説明する。「バゲットの魅力は、タイルのように使えることです。小さなラウンドダイヤモンドでセッティングするのではなく、タイルで敷き詰めるのです。小さなラウンドブリリアントで空間を埋めることは、その隙間を支えの金属で埋めることを意味します。バゲットなら100%ダイヤモンドで空間を埋めることができます。よりラグジュアリー感が増すのです」

VCA Baguette-set jewels
左:ヴァン クリーフ&アーペル “ミステリー・セット”のルビー&ダイヤモンド クリップ ブローチ(1965年ごろ)、右:同じくヴァン クリーフ&アーペルのテーパーバゲットをセットしたイヤリング。 Images: courtesy of Sotheby's

 ハイジュエリーにおけるバゲットの使用は、トレンドに左右されるものなのだろうかと私はエヴェレット氏に尋ねた。「バゲットは構成要素です。モチーフを作るのに欠かせない存在だからこそ、使われないということはないでしょう。丸い形状だけではデザインは作れません。直線でなければならないのです」

スポーツウォッチにおけるバゲットセット仕様の台頭
 バゲットセット仕様のスポーツウォッチは、ヴァン クリーフ&アーペルのインビジブルセッティングのアールデコ調ブローチとは隔世の感がある。しかしその系譜は、50年代から60年代にかけてパテック フィリップが復活をもたらしたアール・デコのデザインにさかのぼることができる。


パテック フィリップ Ref.3428。Image: courtesy of John Nagayama

 女性用カクテルウォッチ以外でも、パテックのカタログを見れば時計デザインにおけるバゲットストーンの使用の進化は明らかである。「バゲットカットのダイヤモンドは比較的軽いため、1930年代から男性用懐中時計や腕時計のダイヤルのインデックスやアワーマーカーとして使われ始め、1950年代から60年代にかけてますます人気が高まりました」と、Collectabilityの共同創設者であるタニア・エドワーズ(Tania Edwards)氏は説明する。そして現代のバゲットセッティングを施したスポーツウォッチの先駆けといえば、パテックのRef.3428だ。ダビドフ氏が“1972年以前のスポーツウォッチ”と表現するRef.2526の後継モデルで、自動巻きムーブメントであるCal.27-460、ボーゲル社製の防水ケース、そしてRef.3428の全体的に堅牢な質感は、パテックが実際にスポーツウォッチを作る前にスポーツウォッチを手がけていたことを物語っている。このRef.3428の究極ともいえる1本は、3時、6時、9時位置にダイヤモンドのバゲットインデックスをあしらっている。

2025/08/20(水)

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Written by 中村邦夫 CGI提供じゃわ