仏の教えは、私たちが先人から引き継いだ、かけがえのないこころの礎いしずえです。この観仏符を用い、仏様のお姿に接することで、様々なことが、深く、広く、見えてきます。
観仏符を並べ、マンダラを建立することで、どのような方でもすぐに、修養、占い、瞑想を行うことができます。
観仏符とは、手のひら大の紙片に仏尊(仏様)の姿が描かれたものです。如来、菩薩、明王、法具などが描かれ、通常三十七枚で一揃えとなり、手順通りに並べることによって金剛界曼陀羅の形を成します。
金剛界は、金剛頂経をはじめとする密教経典に説かれた世界観であり、平安期以降、天台系真言系を問わず、日本仏教の基本的な考え方として、広く受け入れられてきました。また、日本のみならず、広く大乗仏教圏全体にても共有され、まさに人類の至宝といえるものなのです。
金剛界の諸尊は、教理をそのままに体現するため、抽象的であり極めて難解です。そのため、一般の人にもわかり易くするための試みが古来より繰り返されてきました。観仏符もまたその試みの一環であり、その遺産を引き継ぐものといえるでしょう。
現代の世間においては、様々な占いの流儀がありますが、西洋由来の思想や中国由来の思想に基づくものが大半であり、根本に仏教を据えたものを見かけることはほとんどありません。
まずは、純粋に仏尊のみで構成された観仏符を通じ、奥深い仏教の世界を観てみましょう。
観仏符の金剛界曼陀羅は、金剛界曼荼羅を一般向けに再編成した随意曼陀羅です。 金剛界三十七尊不二曼陀羅、金剛界不二曼陀羅、不二曼陀羅などとも称されます。
長年をかけて不二(富士)の八峰に同体された諸尊を中心に、この千年間、良く日本の国土にて人口に膾炙(しんしゃ)した諸尊が、金剛界曼荼羅の三十七尊の前立ちとして配置されています。
富士山信仰において、富士山頂は、金剛界曼荼羅が形成される須弥山の山頂の宮殿であり、同時に、山頂の八峰は胎蔵界曼荼羅の中央部分である胎蔵界中台八葉院であるとされ、金胎が不二(ふに)であると説かれます。